はじけんばかりの笑顔が魅力だ。こちらも元気になってくる。
16日の札幌を初日に全国縦断で上演されるミュージカル「赤毛のアン」で、主人公のアン・シャーリーを演じる。舞台経験はあるが、本格的なミュージカルは初挑戦だ。
「歌が好きで、(実家の)鹿児島でもミュージカルのレッスンを受けていたんです。そのときの感覚がちょっとずつよみがえってくる感じがして、すごく楽しい。全身が喜んでいる感じです」
自由奔放なアンというキャラクターについて、「アンって、好奇心が強くて、おしゃべりで、おっちょこちょいで、じっとしてなくて…。母に言わせると、小さいときの私とそっくりだそうです。そんな雰囲気が自然と出てくればいいな」。
2011年、第7回東宝「シンデレラ」オーディションを「思い出づくり」のつもりで、妹と一緒に受けたところ、自身は審査員特別賞、妹の萌歌(もか、15)はグランプリを受賞。デビューへの道が開けた。
「家族も選ばれると思ってなかったので、オーディションが終わったらディズニーランドに行こうという話になって、妹と喜んでいたんです。だけど2人とも選ばれちゃって。翌日は『めざましテレビ』に出演することになったので、結局ディズニーランドに行けなかったんですよ…」とがっかりするところは、17歳らしい。
昨年、周防正行監督のミュージカル映画「舞妓はレディ」で舞妓さんを目指す主役に大抜擢され、堂々とした演技が評判に。
「歌うのが大好きなんです。熱が出て、声がかれていても、せきが止まらなくても歌っちゃう。お母さんに怒られるんですが…」
劇中でも伸びやかな歌声を披露し、日本アカデミー賞の新人俳優賞を受賞した。
憧れの女優は、井上真央。
「奥ゆかしいというか、控えめというか、三歩下がってついていくような日本人の女性らしさがあるのに、どこかに心の強さ、ぶれないものをもっている方だと」
日本アカデミー賞の会場で、その井上と話す機会を得た。「いつかご一緒しましょうねって言っていただいて、すごくすてきな方で夢みたいでした」と目を輝かせる。
座右の銘を聞くと、悩んだ末、意外な言葉が飛び出した。
「《山椒は小粒でもピリリとからい》です。私、小柄(152センチ)なんです。この言葉は周防監督に教えていただいたんですが、小さくても存在感があるってことだと。なるほど、後味に残る、存在感のある人になればいいんだと気付きました。今は、山椒になりたいって思っているんです」
もともとは、引っ込み思案だった。
「小学2年生のころは、人付き合いが上手じゃなくて、毎日泣いていたんです」
それを変えたのがメキシコの空気だった。
「小学3年生から3年間暮らしたんですが、おおらかな国民性に触れて、ふっきれることを教わったんです。小さな幸せや家族を大事にする温かい国だったので、そういうことも学べました」
だから好きな言葉がもう一つ。
「ケ・セラ・セラ(なるようになる)。プレッシャーも感じるタイプですが、悩んで思い詰めた末に、ケセラセラだと。悩むことって大事だと思うので、ちゃんと考えて、シミュレーションもして、それで最後はなんとかなるさって」
好きな男性のタイプは、「男らしい人」。
「わたしが優柔不断なので、どこに行きたいとか、何を食べたいとか決められないんですよ。そういうのをビシッと決めてほしい。決断力のある人がいいです」
現在、高校3年生だが、夏休み返上で舞台に没頭する。
「(学校の)勉強は全然できていないです…。一番頑張らなきゃいけない時期に、人生で一番勉強してなくて。どうしよう…」
いや、それ以上に板の上の長丁場が勉強になるはずだ。 (ペン・福田哲士 カメラ・鴨川一也)
■かみしらいし・もね 女優。1998年1月27日、鹿児島市出身、17歳。2011年、第7回東宝「シンデレラ」オーディションで審査員特別賞を受賞。
主な出演作は、「舞妓はレディ」のほか、「おおかみこどもの雨と雪」(12年)、舞台「みえない雲」(13年)など。来年3、4月公開の映画「ちはやふる」2部作にも出演する。
「赤毛のアン」は16日の札幌市教育文化会館からスタート。19日=大宮ソニックシティ▽20、21日=新宿文化センター▽25日=大阪・オリックス劇場など、8都市で10公演。
not mine.credit and source: WOMAN INFOSEEK
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